銀座 高橋洋服店

Essay

第38回 ネクタイ礼賛

2023.10.31

10月も中旬に入り急に秋めいて来たせいか、ワイシャツ姿がめっきり減って上着を着ている人が多くなってきました。ジャケットにトラウザーズのセットアップスタイルだったり、スーツ姿だったりですが、そのほとんどの人が「ノーネクタイ」です。

クールビズという奇妙奇天烈なドレスコードがビジネスパーソンの服装を根底からくつがえしてしまい、追い打ちをかけるようにCOVID-19の蔓延で在宅勤務をはじめとする全く従来とは違う勤務体制が始まり、ビジネスウェアーそのものが大きく変わってきてしまいました。金融機関でさえ年間を通じて“ノーネクタイ可”になってしまった現状に、改めてクレームをつけるつもりはありません。ただし間違った服装には、文句を言いたいと思います。

それは、“スーツにノーネクタイ”という装いです。ネクタイの由来歴史に関しては弊社HPのエッセイ№26 あるいは拙著「黒は日本の常識 世界の非常識」に詳しくありますのでそちらを参照していただきたいと思いますが、スーツ姿にノーネクタイは大げさに言えば、スーツに下駄を履いているようなものだといえましょう。つまり間違いなのです。

最近アップされているインスタグラムを覗いてみると、ネクタイの結び方やコーディネイション、カジュアルジャケットのタイドアップ姿がやけに目立つようになってきました。ネクタイ復活の兆しかと喜んでいます。

確かにネクタイを締めると窮屈な感じは否めません。しかしネクタイを締めた瞬間、気分がシャキッとするのは私だけでしょうか。何というか「臨戦態勢が整った」という気分になるのです。ただ残念なのはネクタイを美しく締めている人が、極めて少ないということです。現在一般的に普及しているネクタイの締め方は5種類です。それぞれ出来上がる形が違いますので、お好みで、あるいはネクタイの素材によって使い分ければ良いと思います。よく話題になるディンプルですが、これも人それぞれ。いろいろな形がありますので研究の余地ありです。ただし大人がオフィシャルなオケイジョンにいる限り、絶対に忘れてはならないのは、「ワイシャツの襟腰が見えないように、ビシッと襟元まで締め上げる」。これだけは心がけていただきたいと思います。

同じスーツ、ジャケットを着ていてもネクタイを変えるだけで、全く印象が変わるものです。弊社では、柄や大剣の幅はもちろん、ノットの大きさ、長さ、芯地の硬さをお好みでお選びいただけるフルビスポークのハンドメイドタイのご用命を承っております。ネクタイを締めていても暑苦しくない季節になってきました。是非ネクタイのおしゃれを楽しんでいただきたいとおもいます。


髙橋洋服店オリジナルタイ
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