第28回 ポケットチーフを考える(2)

前回は胸ポケットの誕生と、ポケットチーフの密接なつながりについて書かせていただきました。

胸ポケットにポケットチーフを挿すことは、本来の目的を果たしているだけなのだ、ということをご理解いただけたと思ます。

今回は、それではどのようなチーフを挿せばいいのかということを、考えてみたいと思います。

冠婚葬祭等フォーマル・オケイジョンの場合のチーフの挿し方に関しては拙著『「黒」は日本の常識、世界の非常識』に詳しく記述してありますので、それを参考にしていただきたいと思いますが、以下要点だけ簡単に述べさせていただきます。

基本的には白の麻のハンカチーフ1枚あれば、どのようなオケイジョンにも対応できますが、通夜・葬儀告別式と言った不祝儀の場合は黒の無地か黒の共柄にされてはいかがでしょうか。多くの礼装の指南本には“不祝儀の場合は、一切の装飾を排除するため、ポケットチーフは挿さない”とありますが、ヨーロッパではそのような考えではないようです。故プリンセス・ダイアナの葬儀当日チャールズ皇太子の胸には紺(と思しきソリッドカラーの)ポケットチーフ。お二人のプリンスの胸には水玉模様、そしてフィリップ殿下は白、その他の皇族方の殆どが白か黒のポケットチーフを挿していらっしゃいました。

結婚式のモーニング・スーツでしたら、最近は色物のネクタイやカラフルなポケットチーフ、ディナー・スーツならばお祝い事やパーティーといったおめでたい席のはずですから、こちらも白一辺倒ではなくモノトーンの柄物などがお勧めです。

ビジネススーツのポケットチーフですが残念ながらなかなか普及していません。ここまで書いてきましたように、上衣の胸ポケットにはポケットチーフを挿すべきものにもかかわらず、ポケットチーフを挿すのは気障だとかエーカッコシーだとか、果ては生意気だとか言う、偏見としか言わざるを得ないような風潮があるように思えてなりません。ビジネススーツの場合でも是非清潔な感じのポケットチーフを挿していただきたいと思います。白の無地なら何ら問題はありませんが、例えば本体が白無地でカラーの縁取りがあるような物、あまりビビッドなカラーでない無地や小紋柄、水玉模様などならビジネス用にもふさわしいのではないでしょうか。ただし、よく見かけるネクタイと共柄のポケットチーフがセットで売られているようなものは、私はお勧めしていません。

セットアップスタイルでも是非ポケットチーフを挿していただきたいと思います。タイドアップでちょっと改まったセットアップスタイルをお楽しみいただく時ならなおさらのこと、ノーネクタイのジャケパンスタイルの時にも、ポケットチーフで一味違ったお洒落がお楽しみいただけること間違いありません。

素材はスーツの時同様の表面が滑らかなシルク素材でも勿論差し支えありませんが、前回ネクタイの回でも申し述べさせていただいた、紬調の節糸が入った物や、タイシルクとかインドシルクなどのエスニック調の素材や柄のものならカジュアル感を演出できるのでお勧めです。カジュアルということを考えると、小紋柄のようなドレッシーな感じの物は避けるべきではないでしょうか。

最後に、ポケットチーフの挿し方について一言。

最もドレッシーな挿し方はスリーピークと言って、三角形が三つ顔を出します。燕尾服を始めとしたモーニングスーツ、ディナースーツなどの時に使われます。

次にTVフォールド。ポケットの口に直線的に細長く四角い感じにチーフが顔を出します。一番一般的で、セミフォーマル、ビジネスそしてカジュアルに迄幅広くご使用になれます。ポケットチーフ初心者の方々には一番抵抗なく使っていただけるのではないでしょうか。

そしていかにも無造作に丸めて挿した感じを醸し出すパフ。パーティー感覚でお召しになるディナースーツを始めとして、ビジネススーツ、セットアップスタイルでポケットチーフでのお洒落を楽しむ、挿しなれた感じを演出します。

そして最後にクラッシュ。パフと同じようにただ丸めて突っ込んだ感じなのですが、ポケットチーフの四隅がはみ出しています。はみ出した四隅のバランスを整え、いかに無造作乍ら形よくはみ出したように演出するか、ポケットチーフ上級者用と申せましょう。

他にもパフの顔を出した部分を花びら型に見せるような挿し方もありますが、もうそこから先はご自身の工夫次第。大いにポケットチーフを楽しんでいただきたいと思います。

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