第23回 スーパー〇〇’sって何だろう

最近服地の説明文にやたらと“スーパー〇〇’s”という表示が目に付きます。しかし一般のエンドユーザーの皆さまがどの程度正確にスーパー表示の意味を理解されているかは全く疑問です。ただ数字が大きければ大きいほど、高品質な服地であるとの先入観を持ち、数字だけで素材の良し悪しを判断してはいらっしゃらないでしょうか。必ずしも間違いだとは申しませんが、洋服を誂えたり既製服を購入されたりするときに、スーパー表示だけを購入の判断基準になさるのは、決して賢い購入方法とは言えません。”スーパー〇〇’s”が何たるかを、消費者の皆様に正しくお伝えしてこなかったのは、ひとえに私たちテーラーや既製服販売店、あるいはマスメディアに責任があると反省しなければなりません。

では一体“スーパー〇〇’sとは何を意味するのでしょうか。

“スーパー〇〇’s”という数字が使われだしたのは、正確に記憶はしていませんが、かれこれ40年ほど前のことではないでしょうか。もともとの意味は、羊から採れた高品質な羊毛の太さ(中級品以下の原毛ではスーパー表示はされないためあえて高品質とさせていただきます)を世界基準で統一して標記するための単位、とお考えいただければいいでしょう。具体的には原毛1本の太さが18.5ミクロンのものがスーパー100’s、その後0.5ミクロン細くなるにつれてスーパー表示が10ずつ大きくなり、スーパー160’sで15.5ミクロンになります。もちろん昔はそんなに細い原毛が採れる羊も居なかったのですが、現在では羊の品種改良が進み、最も細い物ではスーパー240’sという羊毛が採取されています。

話はいささかややこしくなりますが、スーパー表示とは全く関係なく毛織物を織るときの“糸番手”というのが存在します。

1gの原毛を60m迄引き延ばして作られた糸を60番手。80m迄引き延ばされた糸を80番手の糸と呼びます。現在普通に毛織物に使われている糸は、概ね70番手から80番手程度の糸です。つまり1gの原毛を70m~80mに引き延ばして作られた糸が使われています。更にその糸を2本撚り合わせて(双糸 2プライといいます)経糸・横糸に使用して織り物にしています。しかし毛織物の場合この糸番手が服地の品質表示に使用されることはほとんどありません。

一方、ワイシャツ生地などの綿織物の場合、品質表示の重要な単位として、糸番手が使われています。もちろんその数値を決める方法は羊毛の場合とは全く異なりますが、数値が大きければ大きいほど“薄くて肌触りが良い”とお考えいただいてほぼ間違いないでしょう。

話をもとに戻します。確かにスーパー表示で数字が大きい原材料は“高品質”ということにはなります。しかし高品質の原材料が使われているかいないかだけで服地の良し悪し決めつけてしまっていいのでしょうか。スーパー表示が大きい生地ならば、どのような用途の洋服に使用しても具合のいい洋服ができるものなのでしょうか。次回は素材の適正、長所と短所について考えてみたいと思います。

 

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